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📬境界を越える招待状

2021年の年明け。まだ雪が静かに降り積もる頃、私の元に届いた一通のSNSメッセージ。それが、クリゼミ国を大きく変える「運命の歯車」でした。

「オンラインで、Luaを使ったゲームプログラミングを教えていただけませんか?みっちょさんに習いたいのです。」(※Lua…プログラミング言語の1つ)

送り主はAさん。プログラミングを学んで小学生の息子さんと一緒にゲームを作りたいという想いを綴られていました。Aさんはいくつも県を跨ぐほど遠方の方…対面でお教えすることは不可能でした。

私は当時まだオフライン(対面)での指導にこだわっていました。キーボードの打ち方でつまずいたとき、オンラインでは助けてあげられない。だからプログラミングは“直接会って教えるもの”だと信じていたのです。

しかも当時クリゼミでプログラミング言語として主に使用していたのは、大人にはJavaScriptや.NET子供にはBASICでした。Luaは、当時ちょうどまだ「今後メインで使用する言語にできないだろうか」と検討していた最中で、教材も環境も全く整っていない状況でした。

⚔️“不可能”を“冒険”に変える決断

希望の言語の教材も満足に揃っていない。オフラインで教えられる距離でもない。普通なら即座にお断りする場面かもしれません。

でも、私の心には一つの想いがありました。

「私がお断りしたら、この方はせっかくの『好き』を学ぶ機会を失ってしまう。それは、ゲーム制作を愛する者として、あまりにも悲しいことだ。」

Luaを教えている教室は国内にほとんどなく資料の多くは英語で書かれており独学が難しい事も私には解っていました。

「できるかどうか、準備してみます。1ヶ月だけ時間をください。」

そうお返事した日から、「不可能」を「冒険」に変える挑戦が始まったのです。

🪔Luaの灯火がともった日

私は来る日も来る日もLuaの教材を突貫で作り続けました。

同時に、オンラインでも教えられるように、ウェブブラウザ上で動くLuaの学習環境を自作し、教材をウェブブラウザで閲覧できるシステムも作り上げました。

不思議と辛くはありませんでした。むしろ、Luaという言語の底知れない柔軟性と楽しさに、私自身がどんどん魅了されていきました。そして「Luaは間違いなくクリゼミで主軸として採用すべき言語だ」と確信したのです。

1ヶ月後、気づけばすべてが揃っていました。

「作ってみたら準備できてしまったので、承ります。」

そうAさんに伝えた瞬間、初めての“オンライン版クリゼミ”が誕生しました。そしてLuaが正式にクリゼミの採用言語となった瞬間でもありました。

⛵味方だったオンラインの風

オンラインという「電脳の海」を越えて、クリゼミ史上初の完全リモート授業がスタートしました。

初めてのオンライン指導は不安もありましたが、驚くほどスムーズに進みました。ちょうどコロナ禍の真っ只中。社会人や学生など、忙しい中で受講してくださる方々にとってオンラインは時間調整もしやすく、むしろ利点が多いと感じるようになりました。

そして数年…

クリゼミは完全オンラインへと移行し、最初に学ぶ言語もLuaに統一されました。教室に足を運ぶ必要はなく、時間になればZoomに接続するだけ。クリゼミは、より自由で柔軟な“学びの場”へと姿を変えたのです。

今振り返ると、Aさんとの出会いは不思議な縁でした。あの一通のメッセージが、クリゼミの言語も、スタイルも、大きく変えるきっかけになったのです。

この時、Luaという自由な言語に出会ったことが、後の『ある大革命』への導火線になるとは、まだ知る由もありませんでした……