Stable DiffusionのArtistを試す

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で『 Stable Diffusion web UI 』をインストールした訳ですが、このフォルダの中を見ていると興味深い CSV データがある事に気づきました。

それがこの『 artists.csv 』というファイルです。

開いてみると何やら画家さんの名前らしきものがずらずらと並んでいます。『 score 』という項目があるので、その降順に並べてみました。

Stable Diffusion ではアーティスト名を指定する事で素敵な絵が描かれるといった事をよく耳にしますが、こういった画家さんの絵を元に学んでいる…という事でしょう。

で、調べてみるとどうやらこの『 score 』の値は『アーティスト名の指定 (使用) がどの程度生成画像に影響を及ぼすか』の値だという事です。…という事は、スコアの高いアーティスト名は、単純にプロンプトに追加すればその画家さん”風”の絵を描いてもらえる…という事になりそうです。

であらば…と、早速実験してみます。

比較元になるプロンプト指示文&絵はこちら。

Stable Diffusion のプロンプトに

a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

という指示を与えて描かせたものです。

これに先のリストでスコアの高いアーティスト名からトップ10までを順に与えていって、それぞれの出力を見てみることにします。

では最初は Peter Max さん。この方ですね。

プロンプトの最初に『 by Peter Max, 』と追加してみます。完成した指示文はこちら。

by Peter Max, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

で、出力はこんな感じになりました。

なるほど…色や雰囲気はややにてると言えなくもないですが、細部は再現出来ているとはとは言い切れません。Peter Max さんの絵って絵の具的なのとセリグラフ的なのと大きく2系統くらいの画風があるんですが、色とタッチでそれらが融合してしまっている気もします。

次は Roy Lichtenstein さん。こちらの方になります。

プロンプトの最初に『 by Roy Lichtenstein, 』と追加して、

by Roy Lichtenstein, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

こちらの指示文で実行してみた結果がこんな感じ。

あ~…再現してるといえば再現してるとは言えな…何を再現しようとしたかは解ります。ただ、Roy Lichtenstein さんの特徴である印象を強くつける黒のラインがこれでは全く別物です。髪のラインも筆の入れ方が甘く、これではタッチが出ていません。

お次は、Romero Britto さんです。

プロンプトの最初に『 by Romero Britto, 』と追加して

by Romero Britto, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

という指示文で実行。で、出てきたのがこの画像。

これは全体的な雰囲気としては結構再現率が高いんではないでしょうか。ただ、これは Romero Britto さんが選びそうにない題材な事もあるでしょうが、印象が変わってしまっています。Romero Britto さんの絵ならハートとか動物さんとか、もっと可愛く描かれている気がします。

次は Keith Haring さん風の絵に挑戦します。

ということで『 by Keith Haring, 』を加えて出来た指示文がこちら。

by Keith Haring, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

プロンプトに与えて実行します。

これは…線の太さと頭に点々が残ってるあたりがちょっとだけ名残という感じで、再現としてあまりにも雑な気がします。Keith Haring さんの絵って、基本的にこんなはっきりした顔は描いてないですしね…色も似せようとはしているようですが間違っている気がします。

次の Hiroshige さんはローマ字で書かれていますがジャンルが浮世絵となっていますので、これは 歌川 広重 さんの事でしょう。

プロンプトに入れる『 by Hiroshige, 』を加えた指示文はこちら。

by Hiroshige, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

出てきた絵はこんな感じです。

パッと見で浮世絵っぽくはありますね。歌川 広重 さんと言えばヒロシゲブルー…など、色の選択も全体として間違ってはいないように思えます。ただくっきりしすぎと言いますか、浮世絵らしい色の階調が全く見られません。背景に描かれた葉の模様にも見覚えがありません。

次は Joan Miró さんです。

『 by Joan Miro, 』を加えて出来た指示文をプロンプトに入力します。

by Joan Miro, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

実行してみた結果はこんな感じ。

シュルレアリスムを描かれていた頃の Joan Miro さんの作調でしょうか。そこそこ頑張って再現した感じになっています。Joan Miro さんの絵の持つ繊細なラインは表現できていないものの、全体としての色の選び方・構図の作り方などは良い線をいってるんではないでしょうか。

さて、次はこちらの Jean-Michel Basquiat さん風を目指します。

プロンプトは『 by Jean-Michel Basquiat, 』を加えて

by Jean-Michel Basquiat, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

で実行です。出てきた絵がこちら。

ストリートアートに端を発する Jean-Michel Basquiat さんの絵が持つ力強い雰囲気は、目にした瞬間に伝わってきます。これは解る気がします。ただ描きこみが浅く滲みが強く、Jean-Michel Basquiat さんの絵に見る繊細さが出ていません。あと全く題材を満たして無いのが残念です。

お次は Katsushika Hokusai さん。こちらも浮世絵となっていますので、日本の 葛飾 北斎 さんの事でしょう。

プロンプトの指示文は『 by Katsushika Hokusai, 』を加えて

by Katsushika Hokusai, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

となります。そして仕上がった絵がこちらです。

これはかなりそれっぽい感じに仕上がっています。全体として浮世絵っぽさは良く出ていて、葛飾 北斎 さんの絵にある繊細さも表現されているように感じます。ただ肝心の女性の画風が違って感じます。葛飾 北斎 さんの描く女性はもっと面長で顎もこんなに尖ってないのではいない気がします。

さて、お次は Paul Klee さんです。

プロンプトに『 by Paul Klee, 』と追加して、

by Paul Klee, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

出てきた画像はこんな感じです。

いやいやいやいや…これは…色の段階は追おうと努力したみたいですが…点描のスタイルも再現しようとしたみたいですが…いや…だけど全く…特徴をつかめていない感じですね。Paul Klee さんの絵であれば最低限でも顔には何かしらのパーツが描いてある筈なのですが…

さて、今回の最後は Marc Chagall さんです。こちらの方ですね。

プロンプトの最初に『 by Marc Chagall, 』と追加して

by Marc Chagall, a very cute girl with flowy green hair, having a glass filled with tropical juice, on the beach in the summer, digital painting, sharp focus

という指示文で実行。そして出力されたのがこちらです。

あ~ん~あ~… Marc Chagall さんの絵って動物とか天使とかそういうものが描かれてるイメージですが、この絵は塗りつぶしの背景にただ人物が座っていて、メルヘンというかファンタジーというかそういう感があまりにも無さすぎですね。筆のタッチは似せようと頑張ってる感じはありますが…

ということで『 artists.csv 』でスコアの高い方からトップ10位まで順番に条件に追加して描いてきましたが、いかがだったでしょうか?

私としては、どの方の画風を真似るにも Stable Diffusion は『人物を画風にあてがうのが不得意』という感を受けました。どれも画家さん本人にお見せしたら「全ッ然、似てない!」と言われそうです。贋作作りなんかに使ってもすぐにバレてしまうレベルですね。

でもオリジナルの作品として見た時にはどれも興味深い作品となっており、だからこそ安心して自分の使いたいアート作成に使用できるのではないでしょうか。既存の画風に似すぎてなくて、でも絵としては良い作品が生成される。冷静に考えてみればこれぞ素晴らしい条件です。

Stable Diffusion では複数のアーティストの画風を混ぜて再現するなんて事も出来ますので、そういった試行もまた次の機会にはやってみたいと思います。

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